高度人材とは
従来の技能実習生とは異なる「高度外国人材」という新戦力
従来の技能実習生とは異なる「高度外国人材」という新戦力
「高度人材」とは、専門的な技術や知識を持つ外国人労働者の事です。
高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度(高度人材)は、法務省が2012年5月7日から導入した、特に優秀な外国人(外国人高度人材)に対する出入国優遇措置です。
これまでにも「外国人技能実習制度」という制度がありましたが、これは「外国人が日本の技能・技術を学ぶ」というところに主眼が置かれていました。
一方、高度人材は「日本の産業にイノベーションをもたらす」「日本人と切磋琢磨して専門的・技術的な労働市場の発展を促して、効率化を高める」という目的があります。外国人技能実習生と比べると、より「労働力の補完」「企業の競争力強化」という意味合いが強い制度と言えます。
厚生労働省の発表によると、2018年10月末現在、日本における外国人労働者数は約146万人を数えます。その内訳を在留資格別に見たのがこのグラフです。たとえば最も多い「身分に基づく在留資格」とは永住者・日本人の配偶者などで、就労に制限はありません。「資格外活動許可」とは留学生などのアルバイトを意味し、週の就業可能時間が決められています。そして日本の産業界が注目する「高度外国人材」は、グラフの「専門的・技術的分野の在留資格」の27.7万人に含まれています
冒頭でも解説したとおり、高度人材は特に優秀な外国人労働者を優遇する制度です。
外国人高度人材が日本で行うべき活動は
・「高度学術研究活動(研究、研究の指導や教育に従事する)」
・「高度専門・技術活動(自然科学もしくは人文科学の分野に属する知識や技術を要する業務に従事する)」
・「高度経営・管理活動(事業の経営や管理に従事する)」
の3つに分類されています。
そこで、候補者がで上日本記の活動が行えるかどうかを入国管理局が審査し、ポイント化します。
審査項目は
・学歴
・職歴
・日本語能力
・研究実績(高度学術研究活動や高度専門・技術活動の場合)
・経営経験の有無(高度経営・管理活動の場合)
など多岐に渡ります。
たとえば「大学を卒業し又はこれと同等以上の教育を受けた者」という項目をクリアしていれば10点、「日本語能力試験N1取得者」をクリアしていれば15点など、実績やスキルに応じてポイントを加算。合計70点以上となれば外国人高度人材として認定され、在留期間の延長や永住許可要件の緩和などの優遇措置を受けることができます。
高度人材は受け入れ企業、高度人材双方に多くのメリットがある制度です。
それぞれの立場から解説します。
外国人技能実習生が行える業務は工場や建設現場、農業、漁業などの作業的なものに限定されていますが、外国人高度人材であればITや設計・監理、研究・開発、オフィスワークなど、より専門性が求められる業務に従事させることが可能です。
また、技能実習生の場合は在留期間が「最長5年」、基本的には1~3年と比較的短期なので、企業にとってはどうしても「一時的な労働力の補完」という位置づけになります。
一方、外国人高度人材は在留期間が5年。無期限在留資格や永住許可も取得しやすいので、長いスパンで業務を任せやすく、企業の基幹業務を担う人材にもなり得ます。
高度人材の審査項目には日本語能力に関するものも含まれているので、技能実習生よりも日本語能力が長けている人材が多く、社内外での円滑なコミュニケーションも期待できます。
「日本で働きたい」と考えている外国人にとっても大きなメリットがあります。前記でも解説したとおり、在留期間が長く、永住できる可能性もあるため、より長く日本で働くことが可能です。
また、配偶者も日本での就労ができる、一定の条件を満たせば親の帯同も可能になるなど、家族に対しても優遇されます。
特に発展途上国の人にとっては、日本の技術や知識を学べる、収入を大幅にアップさせるというチャンスが大いにある制度と言えます。